雪降る八月、花束を。

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責に揺れる命の火 〜少年たち 青春の光に…〜

2019年10月6日

なにわ男子結成1周年おめでとうございました!…間に合いませんでしたが、本当はここに合わせたかったんです。

 

今年の夏松竹座で上演された舞台

少年たち 青春の光に…

の個人的まとめ・感想考察記事です。

2万字以上あるのに目次はない不親切設計。

 

こういった形で書かない方が綺麗なものもあるのだけど、実際に見られた方も多くない狭い界隈なので、興味を持ってくださる方が一人でもいらっしゃれば。

 

注意

一個人がこの夏見た物語の記録です。備忘録と記憶の整理が目的、考察の類は全て主観になります。事務所、脚本、演者、制作サイド、取材関係者様とは一切関連がございません。作品に干渉していませんし、する目的などは一切ございません。

すべてフィクション世界への感想と、個人的想像、妄想上での言及になりますので、実在の全てとは切り離してお楽しみいただけると嬉しいです。

作品や演者に興味を持っていただきたい気持ちは大いに含まれています。素人の無礼な考察行為をどうかお見逃しください。

一部公表済の文章や表現をお借りしていますが、感じたものを中心に本当に根拠もなく思うままに書いています。もし違う見方をされていたり、不快と感じたら速やかに忘れ、勿論ご自身の感性を優先させて下さい。

 

Q.少年たちってなんですか?

A.未成年を収容する少年刑務所で、罪を犯した囚人の少年たちが仲間の大切さに気付いていく舞台作品。演者やその年ごとに内容は変化するため少年たちと名のつく作品が全て同じものと言い難い。セットのモデルや映画の撮影地は奈良少年刑務所(旧奈良監獄)であり、実在のものである。

https://former-nara-prison.com

今年の夏の松竹座は未成年の囚人たち視点で描かれ、監獄の全てを意のままにする悪い大人の見本のような看守長が囚人たちの敵となる。登場人物がやたらに多い。とにかく情報が多い。

 

☆本編内容覚書はこちら

http://170815snow.hateblo.jp/entry/20191105/1572879622

 

今年の少年たちは関西Jr.に加え、看守長役にコング桑田さんを迎え全公演完走しました。

台本の他に配役オーディションがあり「ロミオとジュリエット」の一部シーンを演じてもらい、最終的なキャスティングは∞の大倉くんが決定していたそうです。公演パンフレットでも触れられず、2019.8.24発売の月刊TVfan10月号にしか公式の表記はありませんでしたが、10年前の2009年に∞の横山くんが後輩のために書き上げ「Tough Weeds 光の射す方へ…」として松竹座で上演された舞台に通ずる点が多いようで見たことある!と長く松竹座に通うファンの方々の間では公演初日から直ぐに話題になっていました。言われてみたら、タイトルも似てる。私は未履修です…。

横倉お兄ちゃんの恩恵がすごい。いつもプロデュース・サポートありがとうございます。

 

本編一幕、休憩を挟み、本編二幕・ショータイムの構成。本編は例年や映画のようなミュージカル風ではなくストレートプレイでした。キャストの名前の引用ではなくそれぞれに役名もある、普通の舞台。むしろ普通の舞台より主要人物が多く絡みが難解で難しいくらいです。歌うシーンは少しだけ残っています。少年たちファン(?)にはお馴染みの楽曲のインストはBGMとして流れ気分を盛り上げます。脱獄計画や脱獄時に嗚呼思春期のイントロや♪闇を突き抜けてのイントロが流れるから歌うのか、踊るのか?!と構えるも歌わない。歌唱パートは

♪あいつの分も生きる

♪君にこの歌を

のみでした。あとは祐二こと大吾くんのアカペラがワンフレーズだけ1箇所。桶ダンスもなし。歌といえば

♪あいつの分も生きる の「何かが足りない」と度重ね歌う部分を歌わず、2年間松竹座で歌われなかった最後のサビ「あいつが死んだ朝 僕らは生きる 居なくなった あいつの分も」の部分の歌詞を歌っていました。映画にも無く、メロディーも歌詞も私初めて聴いた…15年の少年たちで歌っていたのかは観ていないので不明です。

シーンを切り替える際にキャストが自ら運ぶ、ベッドになり檻の格子になり作業場や食堂の机になる便利な可動式セットが秀逸。そもそも運ぶのはほぼ囚人役で、運んでいる時の絵を正面から見れば檻に入れられているよう。コの字型(正確に言うならユ?)なので、脱獄時は空いている方が看守側に向いていて、空の檻に見えたり、細かい!

精神的、視覚的に多少グロテスクな部分があります。看守長、祐二の拷問シーンに血糊使用あり。他は演技のみや暗転や舞台転換で魅せます。

ショータイムがある為完全に本編はアイドルショーとしての部分を省き、舞台作品として勝負に出ていて痺れる。

本作は日記をつける新入りこと日記係がおらず、日記帳もない!例年とは違った構成で劇中に日付は出てきません。旧リーダのトオルが亡くなったのが一年前だと劇中のセリフにあったので関連の回想は別とし、経過年月不明(新入り囚人収容〜脱獄まで)のまま一年後(出所後)。花が出てきて、拓未が独房の夜は寒いと言ってるので季節は春か秋かなあ。

囚人に番号はなく、左胸にボタンで名札をつけており、番号ではなく苗字で呼ばれます。

囚人服もつなぎではなく上下バラの厚手の作業着に。生地が分かるほど近くでは見られていませんが綿麻のような少しざらついた光らない生地でした。

登場人物の発言や名前からそれより少し前の年代を感じるのに、健太の技術の話やちびっこJr.がガラケーを持っているので割と近年なのかなあ。フィクション感を強めたり、誤解を生まない為に年代をぼかされてる?ような感覚になります。程々な非現実感は暗い話を日常に持ち込まずに済むのでありがたいです。私はバリバリ持ち込んじゃいましたが…笑

 

ストーリーテラーを1人挙げるなら柿本拓未(大橋和也)、俗に言う主役ような立ち位置は1幕は大村祐二(西畑大吾)、2幕は相村潤平(道枝駿佑)になるのかなと。新入りで赤青を協力させる明るい役、柿本拓未は昨年までの所謂日記係ではないものの、自身も身を置きながら全てのことを見届ける者として残っています。

例年通りに1名、新人看守のふりをして刑務所に潜り込む本部からの捜査官の村田宗次郎(藤原丈一郎)に、囚人との昔馴染み設定が乗ってストーリーにより深く絡むように。

今年は囚人側に新入りが2人。大田原君麻呂(長尾謙杜)も拓未よりは控えめですが、皆の変化のきっかけとして機能します。長尾くんのファンなので定点観劇分を下にまとめてみました。

 

・大田原君麻呂(長尾謙杜) 青房 新入り

明るく人当たりがよく、すんなり環境を受け入れた拓未とは対照的に、何故自分がここに入れられているのかも分かっていないような世間知らずのボンボンくん。初日〜前半は弱気な少年な印象が強く、半ば〜演出家さんと相談しながら役を作っていったと発売済みのSTAGEnaviにて話していました。ありがたいことに前半、中間、千秋楽公演と程よくばらけた日程で観劇の機会をいただけたので、変化をこの目で感じることができて感動しました。ここでは主に千秋楽の大田原君麻呂について書いていますが前半公演で記憶に残った部分にも一部触れています。

良いとこ育ちのため綺麗好きで雑居房の環境に汚い!個室のトイレがないと無理!と来て早々文句をいいメソメソしだし雑居房の面々に初っ端から呆れられる。挨拶を突っぱねる桜木に怯えて少しちびった事も拓未と顔を見合わせて笑えたり、視線さえ逸れれば乱闘の中堂々と用を足せたりするので、決して気の弱い子ではない。

雑居房はおろか、少年刑務所、窮屈な暮らしは初めてと思われる描写が多いため恐らく前科はない。自分の置かれた状況もよくわかっていないので。行進で手と足が一緒に出てしまい、看守に何度注意されてもうまくできない描写がありました。(前半公演は、緊張して強張ってうまくできない様な印象)

一番の見せ場である、食堂のシーンでは山森たちの待遇の話に食いつき、静かに耳を傾ける仕草や配給を受けながらもソワソワしだす様子がかわいらしい。看守長に自ら声をかけ、お金での待遇改善を申し出る君麻呂は愚かでしかないが無邪気な無敵で。その件は既に看守長側から交渉済みで、寧ろ「罪を犯すような息子は暫く表に出さないでくれ」と断られた事実を告げられると「嘘だ父さんが」と呟いた後叫びながら他の囚人の食卓をひっくり返して荒らし、「父さんに捨てられた…」とふらふらと力無く崩れ落ち泣きます。駆け寄る拓未の胸を借り泣く姿、座り込んでその場に動かないために、六郎(嶋崎斗亜)に抱き抱えられ避難させられる姿は幼い子のよう。このシーンで、コング桑田さんがカットになった看守長のセリフで、どうせ全てお金で買ってきたんだろう?のような追い討ちセリフがあったことを教えて下さいました。

皆で刑期を終え出られたら何がしたいか語る際に、祐二の「ここに来た時点で〜(親不孝のようなもの)」の言葉が刺さり俯いてしまうところから、見捨てられたと知ってもなお、父親のことを心から恨んだり嫌いではないことが伝わります。父親以外の家族は劇中に出てこないので不明ですが、この子は心からお父さんを頼りにしており、お父さんが大好きだった。

ですが、祐二が亡くなり、看守村田が怒りと悲しみ溢れる囚人をどうにかなだめようとするのですが、その際に君麻呂は村田を疑ぐるように見ていたのです。「俺がどうにかしてやるから、目立つ真似はせず大人しく待っていろ」…これはきっと、君麻呂が父にもらっていた言葉に近いのかな。一度裏切られたから、信じがたい言葉。それか、もっと闇深い考え方をするなら、自分の為に助けてくれていたと思っていたのに、結局は市会議員の息子が惨めであってはならないという父自身の世間体の為であったのでしょうか。どちらにしろ、縋ったものに見放された君麻呂は村田の言葉を信じられるはずもなく、睨みつけるまでの強さはないものの、疑った視線のまま目で追うような態度を取ってました。例えるとすれば俺スカの4話和解前の東条に接する際の若林の表情に近い、見てはいるけど受け入れない。警戒のような、そんな顔です。

日程前半〜中ごろの公演は言葉を発する村田を見ないようにし、現実を受け入れたくないのか俯いたまま背中を向けて少しずつ自身を距離を置いていました。静かに村田の動きに合わせて嫌々へそ曲げる仕草もこれはこれで子供っぽくて可愛かったです。

過保護にされていたけど、流石に庇いきれず親に見捨てられた世間知らず。大人の都合でそうされていたのなら尚更不幸な子だなあと。脱獄の話では最初は尻込みするものの、「1人だけ置いてけぼりは嫌や!」と奮起する。逃げ腰であったが作戦会議で各々特技を活かした役割を決めるシーンでは、自ら汚くて臭い、トイレの配管をたどり刑務所全体を把握して図面を書く皆の嫌がる役割に立候補。勿論皆に本当にいいんか?と聞かれるが、それがみんなのためになるならと頷く。続く「…それに、昔からお絵描きは得意や!」の台詞が愛おしくてたまらないです。かつて誰かに褒められたり、自信がついた経験があったんでしょうか。お金で買わなくても、褒められてそれが嬉しかった記憶。みんなの為に暗くて汚くて臭い場所で頑張れてしまう君麻呂と、潔癖な君麻呂を心配して確認してくれる雑居房の皆が愛しい、個人的にお気に入りのシーンでした。君麻呂は臭い嫌やとメソメソしながらしれっとこなしていますが、脱獄計画においてすごく大切な部分を任されて、無事にやり遂げています。看守視点で考えてもあのボンボンの君麻呂が下水層を嗅ぎまわってる筈がないので意表を突ける良案です。万が一見つかっても迷子になってる辺りの言い訳で切り抜けられそう。自分のペースが保たれて劣等感を感じない、他者の冷たい視線がなく、仲間に恵まれれば実はすごい力を発揮できちゃう子だったりして。元々自己主張はできますし。

劇中、中ばには出来なかった行進もしれっと出来るようになり、脱獄の際も遅れたりはぐれたりすることなくしっかりと皆について走り、無事に門の前まで到着。看守長には左腿を撃たれ、恐らく弾が抜けず倒れてもがいた後丸くなり酷く苦しみます。脱獄シーンの最後、看守長を殺めようと銃を構える村田を拓未や潤平と共に止めようと痛みに耐え必死に前進するも、君麻呂の手は村田の足先にも届きません。あと少し、まだそこまでは届かないかと、見ていて悔しい。

脱獄後のシーンではスーツネクタイにスキニージーンズ。♪君にこの歌を のサビでは前半公演は両手を尻ポケットに入れる癖があったのですが千秋楽ではやっていなかった。最後の掛け合いの「愛ってやつをね!」のクサさが好きです。綺麗好きだけれどクサい子君麻呂。自ら金臭さを水洗トイレに…水に流して少し強くなった彼は臭い物に蓋をする父とも、今後はうまく向き合える…と良いなと思います。

役割としては、置かれた環境、貧困や孤児、金絡みで拗れ罪を犯した囚人達の中にやってきた世間知らずな親もいる金持ち育ち。子供っぽさの残る思考と、目の前で親に見捨てられる姿で雑居に幸せとはお金でも親でも無知でもないことを改めて考えさせる。お金があって、家族が立派でも、周りの環境が良くても、一歩間違えたら俺らと同じ、と自身の不幸と不遇の不満で凝り固まった囚人たちに一石を投じる1人。皆に笑顔や協力を促す拓未のように分かりやすい革命児ではないものの、雑居が一丸になるための種を蒔く大事な役割でした。君麻呂自身はイヤイヤいうだけでなく、自分はどうしたいかを言えるようになったし、皆と同じ事が出来た自信もついたように思えます。徐々に皆と打ち解け、健太(小柴陸)や六郎と仲良さげに絡んだり、看守に殴られた潤平(道枝駿佑)を心配して側に歩み寄ったり人懐こさのわかるシーンが多くありました。

前半公演の人目に怯えた弱気な君麻呂は、同じ汚れ仕事に立候補するシーンでも僕には最後に残った仕事しかできない、と自己肯定感が下がったような響きに聞こえました。私はどちらも好きですし、印象は受取手の思考パターンや精神状態にもよるかと思います…!台詞自体は変わらないのに、声のトーンや仕草でかなりキャラクターが変わってびっくり。素人耳ではありますが全体的に出だしが小さい弱気な話し方から、無邪気な子供のような発声に変わっていました。動きも大きくなり、歩く仕草の足取りも心なしか軽くなっていたように思います。

去年の日記係に続く新入り役。今回は生き残れた!!!台詞や役割に遊びが効いたとっても素敵な役でした。ほぼトイレを運んでいてかわいかったです。ボンボンの駄々っ子だけれど憎めない君麻呂ちゃん、出所後は大好きだったお父さんに迷惑かけてごめんなさいが言えていたらいいな、あと、お父さんにお金で解決してもらわなくても、もう1人でなんとかできるよって。

 

長尾担なので、定点で力を使い果たした感ありますが…以下他の子の私的解釈や情報まとめたお話です。覚えている箇所みなので文章量に差があります。それと間違ってたら本当にごめんなさい!

 

・相村潤平(道枝駿佑)青房

親がおらず弟と二人暮らしをしていた。生活のために賭博に手を出し投獄。賭博は一時的なものだと懲役がないので常習か賭博の主催側。弟とは連絡を取っているが、捕まった事実を隠し留学すると嘘をついていました。

桜木とは犬猿の仲で現青房の中心人物といえる。元リーダーのトオルと親交が深かったようで、事故死の原因の祐二を責めるような言動をしたこと、どうにもならないと知りながらも、思いの行き場がなかったと拓未に嘆く。喧嘩の強い桜木に一打の威力は劣るが怯まない精神力がありさほど劣らない実力が見て取れる。

衝動的であれど祐二を責めたことを後悔はしていて、トオルと自分を庇って犠牲になった祐二の無念を晴らすべく、刑期が伸びて弟を待たせてたとしても、脱獄計画に参加する選択を取ります。雑居の中では頭の働く方で脱獄の際は作戦を提案し脱獄を仕切る立場に。冗談を言うタイプではなく態度はクールだが弟がいるためか面倒見はいいように見え、そもそも仲間に気を許しすぎて事の発端のカケルの仕込んだタバコに気付けなかったり、脱獄の最中に看守に狙撃された幸作が気を失うとすぐに見捨て、他の仲間の犠牲をも決めつけ先を急ごうと急かす目の色の違う拓未に1番引いていたりと仲間思い。

前半日程では看守長の銃撃シーンで撃たれた場所が異なり(腕肩胸腹のどれかだった記憶、すみません。とにかく腕を伸ばすのが困難で村田に縋れるような状態ではなかった)、中盤から足に変わり、拓未と共に手を下そうとする村田の左足にしがみついて、拓未と共に止めるように。

衝動に流されて、人のせいにして、後悔して、騙されて、今度は自分のせいで人が倒れて、最後は脱獄計画を指揮し皆の命を背負おうとする。結局計画通りには行かず勝手されちゃいますが、もう彼は誰かのせいにはしませんでした。俺たちの脱獄計画は、失敗に終わった。それもしっかり受け入れて。激動かつ1番劇中で健全に苦悩するというか…人らしく不器用に足掻くのが彼かなあと思います。駿くん不器用も苦悩も似合過ぎるのでこういう役多いですね?綺麗な顔を困らせたいし嘆いてほしい!(こら)そして最後に笑顔が見たい!私見たい流れを見られた役でした。出所後に再会した弟に向ける微笑みがとても優しくて好きです。悲劇の連鎖を止めたのが潤平ですが、決め付けがちな自分をちゃんと分かっていて拓未にも事情を話す勇気もあり、責めない祐二の優しさと、最後まで綺麗なままの兄弟愛が揃ってこそ止められたのだと思っています。

日替わりなお話ですが、六郎作のペーパークラフトパンケーキを手に取るシーンで、手にとった拍子に自分の分のバターの部分が取れてしまって「あ…」ってぽかんとなってる潤平くん(これは駿くん?)を2公演くらい見かけて、ほんと不器用で可愛いなって思いました。

 

・桜木郷(高橋恭平) 赤房

元ボクサー。罪状は不明。皆は元格闘家と言っているよう。気難しく、キレると手に負えないため囚人達から恐れられている。赤青の対立の中心人物であり潤平と事あるごとに対立し刑期を伸ばしていた。赤青が不仲になった原因はトオルの死と、それについて青房の潤平を筆頭に同じ赤房の祐二が責められた事なので、本人に自覚があるか分かりませんが、ずっと結果的に赤房の面々を自分の圧倒的な喧嘩の腕と威圧感で守っています。邪魔なものは嫌いだけど、無害なものには我関せず、拳を振るえる機会は逃さない。労働のシーンはとても退屈そうな表情でした。懲罰房上がりを理由に潤平に庇われたシーンはとても不服そう。赤青問わず雑居が1つになっていく過程では寡黙なのですが、段々と印象が柔らかくなって、パーソナルスペースが狭くなっていく桜木は可愛かったです。祐二のことは嫌いではないのは絶対。出所後の夢を語るシーンでは、またボクシングをやりたいと言っていました。

潤平主導の脱獄計画に従っていた桜木でしたが、皆を先に逃がし途中で立ち止まります。皆の為、追っ手の複数人の看守に立ち向かうシーンがやはり一番かっこよかった。身を呈して時間稼ぎと追っ手を負傷させ弱らせる目的でしょうが、雑居の喧嘩がなくなってしばらく、桜木自身好きな喧嘩…自分試しが出来る機会を心から待っていたようにも思えます。自分に怯まず、笑顔でかわし拳を受けとめた拓未のことはかなり意識しており、別れ際には、お前と出会えて良かった、本気でやり合いたかったけどな、と看守と戦う前、本人の居ない場所でひとり本音の言葉を残します。このシーンで流れるインスト楽曲がとても好きなのですが、曲名も分からず聴き覚えもなかったため勝手に桜木のテーマと名付けてて笑。サントラ欲しい。最後は抑え込まれ連れて行かれてしまいますが、村田の手回しで懲罰を免れる。

脱獄に参加した囚人中唯一銃弾に縁なく幕が降りるのに気付いたときは、いつも1人で自分の戦いたいものに向かっていく桜木郷へのリスペクトのようなものがあるのではないかと感じた。この男に野次は不要なのですね。

恭平くんはとことんかっこつけて演じたとのこと。演出家さんがナルシズムの奥の純粋さに気付いて大切にして下さったようで、綺麗にハマっていました。上手く表現できませんが、古典の男性的な美的感覚をそのまま人にしたような、とても魅力的な役…!花は桜木、人は武士…!!そして名前の読み方はごうで良いのでしょうか?劇中呼ばれる事がないので分からない笑

 

・飛田カケル(西村拓哉) 赤房

詐欺で投獄。皆と同じペースで喧嘩をし、笑談をする特に目立つわけでもない普通の少年。1幕序盤は特に何かするわけでもなく桜木の取り巻きのような印象。1幕後半からの存在感がすごい。自分の刑期を短くしてくれるという看守長の誘いに乗り、出所間際だった潤平のポケットにタバコを仕込んだ犯人。仕込んで直ぐの抜き打ち検査は顔色を変えることなくこなすが、祐二が身代わりに出頭した際少しだけ動揺していたような気がした。

朝礼の冒頭、看守長の誠に残念な〜のあたりから何かを察し血の気が引いたような顔のまま全く動かないカケル。悔やみ悲しみ、駆け出す順番は一番最後、多分誰より重い足で走っていました。耐え切れなくなったのか、雑居房皆に真実を打ち明け謝る。一発殴られ、周りに呆れられはしたが、祐二が望まないと幸作の一声以降責められることはなかった。改心して、「仲間と認めてくれたのはみんなだけだから」と脱獄計画に参加する。

が!逃げる途中に降参しようと言い出し看守に自首。看守長に逃走経路を吐くから、今回の件は俺だけ見逃してくれと交渉する。二度目の裏切りに呆れ果てた面々はカケルを切り捨てるが、これも全てカケルの戦略であった。看守長に嘘の逃走経路を教え、仲間の逃げ道を安全にしていたのです。看守の警備が手薄になっていく様子を見て、皆はカケルのしたことを理解してくれたのでした。嘘をつかれ激昂した看守長に直接銃口を突きつけられ撃たれるも、駆けつけた山森たちの援護で頭を掠めただけで致命傷にはならず、追い撃ちも食らうことなくそのまま助かっています。生き残れるのは少し予想外だったみたいです。

出任せで生きてきた?嘘だ!全部計算なんじゃないです?カケルさん!?何がやばいかって自分の命を取るか仲間との絆を取るか、最後の最後まで主導権を自分で握ってたんですよこの子は。看守長までも利用し、自分の生死も自分の意思で選んでいた。…出任せって選び方が出任せだったって意味か?これ以上は私の頭が追いつかなくてダメだ…。でもきっとこの子は生きていく過程で、選ばざるを得なかったんでしょう。考えれば考えるほど賢くて、寂しい子だ…。

タイミングの良すぎる抗争や看守の配置など、もしかしたら以前からスパイとして共謀していたかもしれない…と思うと1幕前半の行動の全てが疑わしくなる。それとニシタクさんが実は青房の健太とは親友の裏設定があるとかんじゅ日誌で教えてくれて!プログラムや機械を組む子と人の心を汲む子が親友でどちらも少年刑務所にいて、表向きはさほど絡まないものの秀才同士にしか分かり合えない複雑な事情がありそうで。利己的に考え生き抜くも結果罪に耐えかねて1人で死ぬことを選んだ子と、無謀でも新しい相方を守り2人で生きること望んだ子(六郎健太の項参照)が実は親友…私が見ていないだけで何かあったんですか?

 

・鈴村幸作(大西流星) 赤房

劇中でずっとサバイバル生活…すごくポジティブな言い方だが家なき子をしていたと語っている。親もいない。罪状は不明。金属類を中心にガラクタを集め、加工して売って生計を立てていたよう。その点か、ガラクタ収集になると強気になり祐二の見つけた大きいナットを半強引に貰っていた。そのナットに紐を通し、一つだけ一際大事にしていたお陰で、脱獄時遠方から狙撃された際に衝撃で気絶しただけで怪我もなく無事で済んでいます。

祐二の隣のベッドで、雑居の中で一番祐二の近くにいるのが幸作でスキンシップも多い。リーダーになった祐二を心から持ち上げ、亡くなった後に祐二の書いた母への手紙を見つけて読み上げたのも幸作だった。信頼する人への懐こさとかわいい顔に反して、口喧嘩をふっかけられると好戦的になる。少しがめつく、いざとなればその辺の草でも紙のパンケーキでも食べようとし、全力で生きようとする男の子。集めたガラクタは宝物と言う。流星くんも日誌に載せてくれた、劇中に置いてある日替わり針金アートはスタッフさんの愛しかなかったです。不遇な生まれでも、幸せは自分で見つけて拾って自分で作ってしまうもの。名前が素敵。

 

・波多野六郎(嶋﨑斗亜) 青房

投獄理由は恐らく窃盗。同じ青房の健太と仲良しで互いに相方と呼び合う。食堂のシーンでは健太と一緒にジェスチャーのみで毎公演色々な食べ物を食べていたとかんじゅ日誌より。雑居房では披露できる機会がないが料理を作ることも好きで、刑期を終えたらいつかパンケーキ屋さんを開きたいと話す。潤平の出所祝いのパーティでは仕方なく紙製のパンケーキを振る舞った。手先も器用とみる。

小柄で可愛らしい見た目だが、盗みの腕には自信あり。看守の隙をみて鍵を手に入れたり、脱獄時は武器の調達がしたいと自ら一人で追手の看守にタイマン勝負を仕掛けるほどの勇敢さと、一対一であれば容易く銃を奪う腕を持っていました。健太と合流したところで健太の目の前で後の追っ手に足を打たれてしまい、置いていけと叫ぶも健太に担がれ銃を乱射しながら逃げる。複数の看守に取り囲まれて、六郎を担いでいた健太も負傷した絶望的状況の中、来世での再会の約束を交わしたあと、叫ぶように手負いの二人で肩組み向かっていく。響く複数の銃声で、暗転。既に無事ではない上この演出、私の知るだけでも沢山の方が初見このシーンで涙し、胸を打たれていました。私もそうです。

・落合健太(小柴陸)  青房

投獄理由は不明。同じ青房の六郎と仲良しで互いに相方と呼び合う。夢を語るシーンで出所後は六郎のパンケーキ屋さんのマネジメントをしたる!と肩を組む。コンピュータから電気系、色々細工ができるようで、脱獄のために遠隔で刑務所全体を停電させてかつ、スイッチングでは復旧のできないコンピューター制御と電子回路まで絡む高度なプログラムを仕込んでいる。高度すぎて本人しか起動できないのか、健太が戻らなかった時、潤平はもう制御盤を叩き壊すしかないと言っていた。

健太は刑務所に来てから、脱獄計画の自分の役割も、時間をかけて組んだプログラムも、自分の身の安全も全部放り投げるほどに心配な、来世も一緒にいたいほどの相方に出会えた。そして見失うことなく、その手を離さず共に眠ることさえ選んだ…と思うと17年少年たちの頭の良い秀才役キョウヘイとその親友役ケントと重なってしまってもう涙腺がダメです。2人セットで書いてしまって申し訳ないが本当に一生一緒にいてください。

 

・戸隠啓司(當間琉巧) 青房

投獄理由は不明。想像力豊かで柔軟な上はっきりと自分のある囚人。新入りの拓未が言う「笑えるやつが最強」説に真っ先に同意した。出所後の夢は海賊王と本気で語る。喧嘩も恐らく、楽しいので参加するタイプ。アホと笑われるが気に留めず、紙のパンケーキで本物を思い浮かべて気持ちでお腹を膨らませようとするなど、不満の多い雑居房の会話の中、彼の一言が気になり皆が反応するような、発想力で注目を集めるシーンが印象深かったです。君麻呂とまた違った純粋さ、子供っぽさがあります。啓司くんのほうがちょっと無邪気のなかに野心と、興味由来の残酷さを含む表情をします。

身体能力も高く、脱獄時も最後まで拓未、潤平らと共に最後まで逃げ残る。撃たれ倒れた位置が一番遠く、看守長を撃とうとする村田には手が届かなかった。

 

・柿本拓未(大橋和也) 赤房 新入り

正義感が強く、街のチンピラを懲らしめる際にやりすぎて投獄。君麻呂と同日、初日から雑居房に放り込まれた新入り。初対面で格闘技経験者の桜木の拳を見切り受け止める動体視力などからかなりの喧嘩の腕を持っています。強くてその上友好的で人との距離を縮めるのがとても早く、本当の強さは辛い時に笑える強さだと言い放ち、不仲の赤房と青房の理由を探りながら、仲介していく。祐二の違和感に気づき、父親に捨てられ泣きじゃくる君麻呂を抱きしめて君麻呂をバカにする山森たちを睨みつけ、桜木を潤平と共に庇うついで潤平の気持ちと抗争の発端を聞き出すコミュ力おばけのスーパーヒーロー。トオルを失った監獄に再び登った、暑苦しくも皆を照らし道を示す太陽だった。

…が、祐二が看守長に殺されるとそれ以降、拓未の纏う気配が変わるというか、健全な笑顔笑声にみえなくなるのです。仇をとりたい、と相談する際にも、いかに看守長を精神的にもいたぶれるかに重点を置く。脱獄を提案するのも拓未で、騒ぎになったら面目丸つぶれだ、と含み笑いで冷たく言い放つのが怖すぎて。脱獄時も、倒れた仲間をすぐに切り捨て、置いてきた仲間の無事を信じることなく犠牲という。そのセリフには流石に後悔を滲ませるが、次の引き返すも立ち止まるも降伏もない、冷たい声色の「いくぞ」で鳥肌が立ちました。拓未の中では正義で悪を懲らしめること、もう脱獄という復讐の完遂しか見えて無いようで恐ろしい。お分かりでしょうか、2幕は彼自身がもう、声を出して笑えていません。

祐二の無念を晴らすため殺人に手を染めようとする村田を見てようやく、目の色と声色に感情が戻り必死に止めます。真っ白な村田さんには、俺らみたいになって欲しくないと真っ先に足に縋り訴える。

望まれる太陽であれど、見えない光でじわじわ焼かれ、日照りが続けば乾ききるし、近付けば火傷では済まない。エネルギーが強すぎる正義が、お日様が悪者にならないためには、雨も雲も必要で、冒頭の語りのように雲に抱かれて太陽が沈む時間もきっと必要なんだ。人の為に奔走できる、強くて能天気な笑顔の拓未は拓未自身のありたい姿なのかもと思っています。人や自分を守る正義が、悪を倒すことに差し代わり、自分と同じ道を辿りそうになっていた村田をどうしても止めたかった。投獄理由から明らかですが、それ以上はダメだ止めろ、と拓未を止めてくれる…止められる人が、以前は周りに居なかったんでしょうね。その点では心強い仲間との監獄での経験を経て良い方に向かえているのかな!良い意味でも後ろを振り返らない子だと思いますし。

パンフレットで大橋くんが話していた、少年たちは毎年の積み重ねという言葉は考察過程にとても影響を与えていて。確かに、ストレートプレイになり細かな設定は変わっているから印象は違うけどキャラクターの分布図というか、看守サイド・山森たち、去年なら島の住民・囚人サイドの構成は変わってないですね…。再会、親友、兄弟、親子要素とか毎年あるし今回もある。大橋くんのたった一言二言に、すごく興味がわいて仕方のない時があります。

 

・山森冬樹(大西風雅) 赤房※贔屓

看守長への金銭贈与により刑務所内で高待遇を受ける囚人たちのリーダー格。赤房だが、同じ赤房の雑居組に関わらず高みの見物をしている。抗争での立ち位置は映画少年たちの黒房です。2幕では、祐二の突然死と看守長の態度にいよいよ不信感を抱き、3人を率いて看守を足止めし、雑居の脱獄を手助けをする。ここの喋り方がとても輩でした風雅さん。山森たちが看守との戦闘中、恐らく村田が駆けつけ、自分の事情を説明し、看守を説得したのだと思われる。恐らくここで致命傷のなかった山森たちは駆け回り、看守長を出し抜き、撃ち殺されそうになっていたカケルの元へ。皆で看守長を抑えこみ弾をそらして助けるなど、本編では描かれないところで大活躍していました。「約束の丘」のことは知らなかったはずなので、脱獄騒動のあとは雑居房と仲良くなったのでしょうか。そこも可愛かったです。

・後藤清典(岡佑吏)青房※贔屓

山森の取り巻き、恐らく贔屓組の中心人物の1人。雑居房を小馬鹿にしている。父に見捨てられた君麻呂を馬鹿にしたり、典型的ないじめっ子。本人もイヤなやつを意識して演じていたそう。

・松井進也(奥村颯太) 青房※贔屓

山森の取り巻き。空き巣の常習犯のため投獄、物音に敏感な設定は本人のかんじゅ日誌より。身軽で脱獄加担の際には看守の背後から飛びかかって背中にへばりついて邪魔したりしていた。

竹島優一(岡﨑彪太郎) 赤房※贔屓

山森の取り巻き。脱獄加担の際は看守にパンチが当たらない上やられっぱなし。すごく喧嘩が弱かったかわいい。

・時岡洋平(浅倉吏玖) 赤房※贔屓

山森の取り巻き。見る余裕がなくて申し訳なかった…。18年組の吏玖くんがここにいるのすごい。 

※高待遇を受ける贔屓組は区別のためか囚人服の色が雑居房の囚人とは異なる。赤は赤紫、青は青緑に近い。一応括りとしてはそれぞれ赤青として収容されているようだ。赤青の抗争を面白がっているが、一年前から全員居たかは定かではない。常に5人一緒に出てきた。

君麻呂のメインシーンでの印象が強いため、実はこの子達も刑務所内の高待遇で雑居に優越感を感じているが、実際は家族が看守長と直談し、刑期も何もかも大人に計算されていて、知らぬ間にお金で売られている可能性もあるのでは…なんて思ってしまったり。

 

・大村祐二(西畑大吾)赤房 2幕故人 ・小学生の祐二(伊藤篤志・山中一輝 Wキャスト)

毎度バイト代を盗るバイトの同僚を衝動的に包丁で刺してしまい投獄。反省しており、控えめに日々を送る看守囚人共に認める模範生。気が弱く好戦的とは程遠い。以前はよく笑う子だったようだ。

約一年前、脱獄容疑をかけられた際に、皆が頼り慕っていたトオルが身代わりになってしまったと青房中心に恨まれ、赤房と青房の抗争のきっかけになってしまう。巻き込まれるように雑居房に入れられ、同じ括りで扱われるも、本人も自分を責めているせいか周りの囚人には一切文句を言わない。父に暴力を振るわれながら育ち、母を愛し、母に手紙を送りながら過ごす。新入りの拓未に笑うことを提案され、「最近は声を上げて笑うことは無かったけど…」と同調し笑い出します。しかし拓未に自分がここに来た経緯を説明した際には、語りながら呼吸を乱し涙声になっていったり、村田との再会を素直に喜べなかったり口調も謝りがちで不安定な部分が目立つ。

赤房と青房が雑居状態になって暫く経ち、自然に赤と青の境目が薄まり笑顔が増えてきた頃。祐二は話の中で、雑居房の全員が刑期を終えたらこの刑務所を見渡せる丘の上で同窓会をしよう!と提案します。集まるには集合をかけるリーダーが必要と、リーダーに推薦される祐二。まず一抜けの潤平の出所日が迫り、雑居房内はパーティが開催されたり、うっかりムラッチ呼びをしてしまい看守村田と小学校の同級生だったことがバレて運命だとからかわれたり、祐二自身も自然に笑顔の絶えない日々が続く。そんな幸せな日々は束の間、看守長は細工をし潤平の刑期を伸ばそうとします。連れていかれそうになった潤平を声を絞り出して庇い、懲罰房へ連れていかれた彼が雑居房に戻ることは二度と無かった。人気のなくなった時を見計らい昼食をこっそり持ってきた雑居の面々に感謝し、助けようとして他の看守と看守長に見つかった村田の身を案じ顔を歪めた。祐二は最期まで笑っていて、最期の言葉は「みんな、ありがとう…今日は最高の日や!」であった。その時手を下した看守長だけが耳にした…筈だ。聞こえていたかは分からない。

拷問に耐えながら、「リーダーやから」と呟く姿は見ているのが辛かったです。リーダーとはなんなのか、リーダーは必要か。でも、祐二は自分がリーダーに任命されたこと自体を、最愛の母に手紙で報告する程喜んでいた。母に届かなかった最後の手紙は、亡くなった後、遺品の中で見つかります。

大村祐二の人生のクライマックスに、流石の演技力で連れて行ってくれました大吾くん。ロウソクの火のような男の子だった。これは観る側のお話なのですが、リーダーになるシーンで話の流れから死亡ルートがぽんと浮かぶんですよ。みんなで笑ってるのに死亡フラグが確立する?あの感覚が忘れられない。

リーダー…魅惑的な響きは無意識な後悔、償い、責任、そして憧れを含んだ。自分を庇って命を落としたトオルのように、仲間の盾になることで祐二はリーダーとしての務めを果たそうとしたんですかね。模範生のお前がタバコを吸っている筈がないと、あまりの見え透いた嘘に看守長すら情けをかけるが、最後まで祐二は吐かず。結末はトオルの二の舞の悲劇に。彼がなったのは自分を守った背中そのもの。

自分も誰かのヒーローになれる時がきたと勇気を振り絞り前に出た祐二にその先の悲劇や残された者の悲しみを想像できる心の余裕は…もう無かったのだと思います。命を落としてやっと肩の荷がおりて、自分を許してあげられたのかな。一年後は約束の丘の上で、前を向いて生きる仲間の背中を感じ、笑っていました。母に花を贈ろうとして二度も悲しい結末になり辛い。どう考えても残された祐二のお母さんが一番辛いかな…。

 

・森下トオル古謝那伊留)元青房 故人

かつて囚人達に慕われていた人物。祐二曰くリーダーにぴったりの人柄と人望。祐二と個人的な交流もあったようだ。看守長に呼び出された祐二を庇い、体罰の末に亡くなる。第一発見者は祐二だった。自分の助言のせいで、無実の罪で疑われた祐二を助けたかった一心である。どう汲み取っても好き好んでそうなった訳ではない。亡くなった後も、思念として見守り続け、あまり笑わなくなった祐二を気にかけていた。

エンディングの♪君にこの歌を で祐二と再会し笑いかけるトオルの顔は優しく、祐二とともに丘から出所していく囚人たちを見送ります。演出的には亡くなっている2人と他の囚人、村田がすれ違う絵も綺麗。古謝くん、稽古中は不在者の代役をしていたようで、なにわ男子の半分くらい台詞も完璧で代役をこなしていたらしい。素直にすごい。

 

・相原サトシ(浦陸斗・姫野颯良 Wキャスト)

潤平の弟。親がいなく兄も捕まってしまったが、身寄りはあるのか普通に学校には通えている。兄はアメリカに行ったと思っており、刑務所にいることはクラスメイトに言われるまで気づいていなかった。兄の嘘や罪を恨まず、またそれを噂したり悪く言う周囲にも負けず、更に周りの近い年の子供達を説得しながら、事実を知ってもなお健気に兄を待ち続けた。出所してきた潤平に駆け寄り抱きつく絵がとても綺麗でした。

未来の象徴として描きたかったものかもしれない「一番強いのは瞳が希望に満ち信じる心のある子供」をそのまま役に起こしたような、そんな子。映像化済で例えるならばDREAM BOYS系統のJr.時代の薮くんや中島裕翔くんの演じた主人公に出会う少年に近い印象でした。というかそのものです。嘘に逃げた過去を許し目先の苦しさを乗り越える力を宿した、幼い瞳に光る憧れ。今のドリボにもあるんだろうかこの役。互いに思い合う兄弟は強い。毎年松竹座でも描かれていた兄弟の絆ですが、今年の兄弟は死に別れずハッピーエンドでよかったです。

 

・村田宗次郎(藤原丈一郎) 新人看守? ・小学生のムラッチ(丸岡光聖・角紳太郎 Wキャスト)

新人看守として、本部よりやってきた。刑務所へは自転車で通勤している。登場シーンの口笛は日替わりで高校野球のテーマ他色々な曲を吹いていました。正義感が強いが実はお調子もの。祐二と小学校の同級生で、ムラッチと呼ばれ、泣き虫の祐二を当時から気遣い手を引いていた。アントニオ○木のモノマネが久しぶりに会う二人を繋いだが、昔と同じように仲良くやりたいと切り出すと祐二には拒まれてしまった。実は本部から看守長の不正を疑い派遣されてきた捜査員なのだが、完全に看守長の城である刑務所内ではうまく動けない。

雑居房が仲良くなってきた頃、賑やかな雑居房に村田が巡回する。看守が来たと構える囚人たちの輪で祐二がぽろっと「ムラッチ」と呼んでしまい、雑居房の面々に顔馴染みであることがバレて、運命やなと笑われる。ここで祐二と村田は再会の日ぶりに顔を見合わせ、照れくさそうに笑った。二人の心が近づけた、そんな気がしたのもつかの間、抜き打ち検査で潤平を庇った祐二が懲罰房へ連れていかれる。

懲罰房で酷い体罰を受け、息も絶え絶えな祐二を心配して声を掛ける。その様子を他の看守に見つかり、自身も連れていかれ拘束されてしまった。その間に…。

自分の潜伏期間に刑務所で不審死がでた。金での優待、理不尽な体罰や意図的な刑期の延長、過去の殺人行為の隠蔽、そして祐二を殺害し隠蔽したことと十分過ぎるほど証拠は揃う。自身も祐二の死に苦しみながら、怒りと悲しみに暮れる囚人たちが暴走しないように諭すのだが、思い届かず囚人達は脱獄計画を実行。看守の銃の使用が解禁された監獄の中、囚人たちの命を守って、看守長を自ら止める…討つべく動く。

山森たちと戦闘中の看守を説得、六郎と健太を撃とうとする看守を止めて説得し、看守長を追う。

追いついた頃には既に看守長は囚人に発砲しており、足を撃たれ動けなくなった囚人を今にも殺そうとするところであった。看守長の手を撃ち抜き銃を落とし、更に追い討ちをかける。自分の手で始末する。倒れた看守長に怒りを込め銃を向けるが、血だらけの拓未と潤平に手を汚さないでほしいと必死に止められ、とどめは撃てなくなった。

一年後、約束の丘の上で、自分の話をする元囚人たちの様子を照れながら見守っていたのちに発見され話の輪に巻き込まれる。無念も少し滲んだ目は村田さんのお陰で助かったんだ、俺らのヒーローだと言われながら、同じ空を見上げていました。

六郎と健太のシーンで鳴る複数の銃声は、看守の銃を撃ち落とした音の可能性があるなあとか。折角また祐二と昔みたいに笑い合えたのに、そのシーンの直後、本当にあっという間に祐二が悲劇に連れ去られてしまう辺りが絶望しかない村田さん視点。祐二を殺された怒りに任せて下手に動けば自分の身や課せられた仕事も破綻する。ここで自分が始末されるような事があれば、看守長は勝手を繰り返し、またしばらくの間は囚人たちに助けは来ない。考えれば考えるほど、胃に穴があきそうな立ち位置です。一年後のシーンも看守の格好のままやってきます。祐二は守れなかった、でも彼が守れなかった命より守った命の方が多くて、皆がそれを喜んでくれている。おかげか彼の正義は綺麗なまま、警官としての心も折れずに残っているようです。

 

・看守長(コング桑田)

監獄を我が者とする看守長。お金での贔屓は序の口、罰と称し笑いながら直接拷問をしたり、気に入らない囚人を嵌めて刑期を伸ばさせる非道な人物。馴れ合い庇いあう囚人に異常に警戒し怒る。トオルと祐二を殺し、それを隠蔽しようとした。罪を犯すような人間は不要と、囚人を痛めつけて喜ぶ描写が多い。祐二に対し穴を掘り逃るのではと警戒していたが、既設の穴…下水管を辿られ囚人達に脱獄されてしまう皮肉な展開。最後は村田に撃たれ、これまでの悪事をすべて本部に報告され引き渡された模様。看守長がそこまで罪人を憎む理由を考えるのも難しいくらいに悪い役ですが、コングさんご自身はとても良い方で、公演期間中のTwitterなどとても楽しませていただきました。長尾くんのお誕生日ケーキの写真もありがとうございます…!

 

看守サイドも色々!迫力があり過ぎる今江くん(今江大地)の看守はパンフレットにはないものの安倍晴明という役名があって、一際看守長を尊敬心酔していてかなり威圧的で囚人に手厳しい看守。有名な陰陽師と同じ漢字。読みはあべはるあき?かな?福井くん(福井宏志朗)の看守は少し看守長のやり方に違和感を感じている看守。どちらもかんじゅ日誌より。看守の中でも看守長に憧れたり怯えたり困惑したりしながらも、逆らうと看守自身にも役職は勿論身の危険があるため従順に動く。

直接は関係ないのですが何故パワハラ上司は世に蔓延り、出世しやすいのかみたいな意見が興味深かったです。確かに、100人中100人の機嫌を取って同意に寄せるのは大変で、圧倒的にその場で力のある1人の機嫌を取る方が簡単なんですよね。そして一時の楽や保身の為に囚人のジレンマに陥りやすい。実は囚人のジレンマこそ、そのままこの「少年たち」のことなのかともぼんやり思ったりしました。

 

青春の光ってなんだろうか。青春は若さと生命力に溢れ青々とした時期。少し無知で愚かでも、何物にも言い換えられないパワーがある時期。それは誰にでもやってくる。やってきていい。勿論今回の主役の受刑者の少年たちにもあっていいものだと思う。一線を踏み越えるきっかけはきっかけに過ぎない。

一度シミがついた布はもう二度と真っ白には戻れない、その看守長のセリフは意味濃い。どんなに周りが許してもその時のシミのついた事実は本人の記憶からは消えないし、逆も然りである。

色々な理由でやってきた新入りたちが刑務所に現れ、事が動き出す。そして勿論元いたものが今に至るまでにも理由がある。自由を望むもの、待つ人のいるもの、夢を持つ者。

望まなかった悲劇の中、守られ残された側の虚しさや痛みははっきりと描かれていました。いやいや、文字に起こすとあまりに祐二の運命が辛かった。君麻呂ちゃんの定点は甘え→絶望→成長みたいな印象なのでまだ見やすかったです。

DV父親のせいでついたという、弱気で人の顔色を伺う自分の性質が嫌いなようですが、逆にそのおかげか、刑務所では気難しく衝動的な囚人に睨まれずにすんで、同じ赤房の面々やトオルには好かれていました。結果的に山森や看守長にまで満場一致で模範生の良いやつと認定されていた祐二とか、そう言えば辛く苦しい時も笑っていたのは拓未じゃなくて、最初から祐二で、この2人も対比だったんだ!とか、公演が終わってから整理しながら気付いて面白いと思った部分もいっぱいあったなあ。

 

2020.4.13追記

劇中、2人という数字が鍵。新入りも2人、亡くなってしまうのも2人、と数が2に統一されているのです。そう考えると看守長を村田が討とうとするシーンで、拓未と潤平が2人で止めるようになった変更点は納得出来る。もちろん他人の為に動けるようになった潤平の心の成長もあるのですが、ここの2人の行動には故人のトオルと祐二、そして皆の思いが共にある。人は自分ではない誰かと接することで良くも悪くも変わるものがある。そしてそれは自分とは違う生命で、他人は他人の生い立ちと未来を持つ。0でも1でもなく2の変化である。勝手なこじつけですがね。自分と他を描ききり、後に判明したことでしたがなにわ男子出演の夏松竹の集大成として、きれいに纏めてきたようで痺れます。気付きがいっぱい。

 

もう少し見ればよかったと思っているのは拓未くんとカケルさんの見せ場のシーン、それぞれの反応。拓未くんは怖くてあんまり見られていないので、もう少しじっくり見られたら、拓未くんの影の部分、弱さがより鮮明に理解できたのかな。カケルさん関連は主に健太とか…親友とか聞いたらなおさら…健太は六郎とニコイチなんじゃないの?と気になってキリがないのです。あ、六郎と健太の仲良しな様子ももっと見たかったです。目が足りなすぎる。

1回目の2017の考察記事につけてしまったばかりに、何か捻らなきゃと何気にプレッシャーな記事のサブタイトルは責…なすべきつとめ の意から。君麻呂ちゃんもそうだし、メインストーリーにも通ずる。決まってからの方が筆が進みました。それぞれの役には文字通りきちんと役割があってね、書いてたらみんなだな!と思ったので。全部大事だからびっくりするほど説明を省けるシーンがなくて、個人考察よりストーリー紹介が多く鬼門でした。至る所にいろんな対比が落ちています。結末は結末として逃れられないものだけど、誰の道が正解などとは表現し難い。それぞれにそれぞれの不幸と、拠り所や宝物、幸せがある。そして全てを知らない観客だからこその、なんというか語られない余白部分というか、不透明さが好きなんです。

 

見たものを好きと思えた時に、今までの私が今の私を更に楽しませてくれます。苦悩や諦めたこと、費やした時間を無駄と思う事はあっても、その時自分がそうしたくて選んだこと、目や耳に入れたものはちゃんと糧になるのだと、多方面で色々なものに教えてもらう日々です。そしてやっぱり役者さんや裏方さん含め、創り手の方々はすごいなあとしみじみ思います、こんなの感情移入し続けたら精神持たないって…。

 

去年より目に見える範囲だけでもさらに沢山の方々に携わっていただいて、そして関西Jr.のいろんな子が自分の役やこだわりについて教えてくれたり、語れる場所を設けていただいて、お芝居楽しかった!やりがいあった!演出家さんと相談できた!の声が聞けて、作品のファンとしてもタレントのファンとしてもとっても幸せで胸がいっぱいです。賛否の声があったのは知っていますが、私は大成功かな!!って思います。

公開のタイミングや、感想文としての形を保つ為引用の割合などは調整しているつもりです。作品の権利を持っていないので、ご指摘受けたら秒で消える最弱ブログになります。…ちょっと自分でもやりすぎた感が否めないので怯えています泣

 

目の届く範囲は拾っているのですが、折角の発言や視覚情報取りこぼしてたら本当にごめんなさい。個人収集なので限界があるのです…。ミスなどは恐らく見つけ次第こっそり修正かけてます。(進行形)

長尾謙杜くんは舞台本編の役名のある役の他に、本編後のショータイムの衣装を担当しているのですが、これまた天才!

既出の衣装の他に、新調品のデザインにも関わっているようなので、

気になる方は、「なにわ男子 アオハル 衣装」とか「まいじゃに Lilかんさい Lilmiracle」※辺りで是非調べてみてください!!

※これに関しては長尾くん、Lilかんさいからの発言がなく、大西流星くんからの間接的なものしかないのですが、携わったっぽい…?

ショータイムの構成は道枝駿佑くんが担当したそうで!

 

長ったらしい記事でしたが、

☆なにわ男子の初主演、関西Jr.の夏の松竹座が熱かったこと

☆本編は演技一本の深い内容で、スタッフさんに恵まれ大切に作っていただいたこと(本当にありがとうございます)

☆長尾くんの演じた大田原君麻呂はかわいい

☆ショータイムは構成道枝、衣装長尾が担当

だけ、覚えて感じて読了していただけていたら嬉しいです!

 

この度は作品やタレントの名を借りた1ファンの好き語りにお付き合いくださりありがとうございました。是非ともなにわ男子、関西Jr.を今後とも宜しくお願い致します。

 

抜粋引用、参考にさせていただきましたm(_ _)m

☆舞台 少年たち 青春の光に… パンフレット

言わずもがな

☆月刊TVfan 10月号

10年前の舞台について

☆BESTSTAGE vol.133

拓未、君麻呂、村田が変えていく部分

☆STAGEnavi vol.35

オススメ。なにわ男子のみ コング桑田さんとのコメントやりとり、公演中盤個人インタビュー

☆STAGESQUARE vol.40

オススメ。演出家さんインタビュー

☆DanceSQUARE vol.34

丈今古陸対談

☆web 連載 日刊なにわ男子・かんじゅ日誌 各個人

他にも取り上げてくださった各誌にもたくさん写真が御座いますので、気になる方は是非。

 

常にキャパ増と公式本編映像化、心から願っております…。出来がいいのにもったいない、受注生産とか…ないんですかね。

絶対なにわ男子、デビューしようね!言霊!

→2021/11/12(追記)

デビュー、おめでとう!!!!!!!

 

ではまた、言葉にしたい何かがあったときにでも。

 

以下絵メモ ◎2020.4.18追加

f:id:knknpa15love:20200418221801j:image

一夏の茶髪がとても可愛かったです。本物はISLAND TVの長尾くんお誕生日動画などで確認できます。

 

2020/5/3 一部変更、出典明記

2023/1/6 一部変更、旧奈良監獄についての表記変更、URL追記

2023/10/2 一部修正