雪降る八月、花束を。

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太陽がおちた日と、僕ら 〜ANOTHER 新たなる冒険(2021)〜

先日の金曜ロードショーで『スタンド・バイ・ミー』を久々に見て、幼き日々の友人達との掛け合いを思い出したり大人が子どもに見る希望や夢についてふと考えていました。

希望とか夢とかっていつも大人が子どもに問いかけるものの、案外大人になってからの方が具体的に持つのではないかな。もう叶わないし変わらない過去に対して願うから、作品として未来に託す手段を取るんです。青春の正体というか…どうしてこの手のモノは尊く見え、心に響くのだろうか。

Jr.でも同タイトルで舞台化されたことがある本作は、私の関心をJr.の舞台に向けたきっかけの一つでもあります。そしてもう一つアイドルにハマって超初期に経歴を調べていたら目に止まった演目であるANOTHERでした。ということで。

 

Lilかんさい座長 関西Jr. 舞台

ANOTHER 新たなる冒険(2021)

こちら感想と考察記事です。担当ではありませんが、この度2021版を折角観られたためメモ程度ですが書き残しておきます。恐らく不足間違いはあります。

自粛が続く中、配信という形でなければ視界に入れることはできなかった。終演後はしっかりパンフレットを買ってしまいますよね、そりゃね…好きだもの…。

 

【注意事項】

タレント本人や事務所、関係者、製作に関わる全ての皆様とは一切関係がございません。思ったままに綴っておりますので、気をつけてはおりますが誤解を招きかねない表現をする可能性があります。

☆作品感想記事とそれに含まれる考察の類は、すべてフィクション世界への感想と、個人的想像、妄想上での言及になります。実在の全てとは切り離してお楽しみいただけると嬉しいです。

今回一段とメッセージ性が強くなっております。フィクションである作品の内容を通して観客である私達が史実や社会問題に興味を持ち触れる事はもちろん良しと考えていますが、フィクションである作品の制作サイドや出演者自身に意見を投げかける行為を好まない個人が書いた感想です。その点もご理解の上お取扱いください。

敬称略

関西Jr.の舞台といえば、松竹座の夏公演の印象が強く春にやるのは新鮮でした。

ANOTHER このタイトルはオリジナルの舞台作品です。過去に4回このタイトルを付けられて、関西Jr.の演技を堪能できる大阪松竹座の夏の公演として上演。

 

https://youtu.be/vzYfXcUQeMw

★追記(2021/10/7)

2021/10/5 松竹チャンネル より公式紹介、公演ダイジェスト映像が公開されておりました。

ありがとうございました。

★追記(2023/8/2)

動画は現在非公開となっているようです。

 

関西からデビューをしている数々のタレント達や現在の関西Jr.で活躍中のなにわ男子、Aぇ!groupの面々などが様々なキャラクターを演じてきました。

今年は先輩の背中を見て育った、関西Jr.内ユニット『Lilかんさい』が座長を務め、2021年3月に大阪松竹座で上演。追加公演も決定していましたが新型コロナウイルス感染症により中止となり、3月収録公演が5/15 18:00〜 ファンクラブ会員限定、事前申込制で有料配信されました。

 

少年たちを乗せたヨットは嵐に襲われ、仲間のウラが海に転落してしまう。直後マストに落雷し、衝撃で少年たちは海に投げ出される。目を覚ますと見知らぬ島。仲間たちの無事も確認し合う。予期せぬサバイバル生活になんとか適応していくが、皆それぞれの不安を抱えていた。リーダーのトアは皆を励まし結束させるが、島民に出会えたもののどうやら敵視されている様子で、さらにはウラの弟のアオイ/コウスケも行方不明になってしまう。さらには、明かされる島の秘密とトア自身に降りかかる事実。少年たちは無事故郷に帰れるのか。彼等の運命は果たして。

と言ったストーリー。考察部分はこの先に。開場中のピアノアレンジ好きすぎるので音源売って欲しいです。

 

トア(嶋﨑斗亜)

責任感が強い少年たちのリーダー的存在。視野が広いが混乱もしやすい。父は幼い頃に失踪し、女手一つで育てた母は病死した。母と自分を置いて消えた父を憎んでいる。シェイクスピアハムレットの劇中の台詞は度々引用するほど好き。島民ルイと出会い、ルイと自分には同じ位置に同じ大きなアザがある、僕のお父さんにもあるというルイの言葉から、島長タイが自分の父親であると気付く。父親が自分と母を捨てた理由と自分のアザが被爆によるものであり、いつ生命を脅かすかわからない爆弾であることを父親から語られ葛藤する。

タクヤ(西村拓哉)

嵐の中、親友ウラの手を離してしまった事を悔やみ続ける少年。彼等は両親に捨てられ、同じ施設で共に育ったようだ。取り残されたウラの弟アオイ/コウスケを守ろうとしたが、親友の弟も自ら命を経ってしまう。自分の命が核に脅やかされても懸命に生きようとするトアや仲間達に影響され辛くても生きると誓い、親友とその弟の眠る島に残る決断をしている。

フウガ(大西風雅)

裏表がなくオブラートもない。感情的で手や暴言が出やすいが謝る時も素直ないいヤツ。腕は立つ為味方であれば非常に頼れる存在。

コタロウ(岡﨑彪太郎)

博識で冷静に物事を考えるタイプ。困る悩むというより解決策優先と頭を使うことには長けているようだが、度々躓き果物をばら撒く等ドジっ子要素あり。

ルウク(當間琉巧)

冗談の得意で器用なムードメーカー。道具作りも得意らしい。

多くは書けず申し訳ないが、フウガ、コタロウ、ルウクの三人は、残酷ともいえる運命に翻弄されるトアとタクヤをそれぞれ1人にせず支え、苦楽を共有する大切な仲間である。

リク(小柴陸)

漂流した少年たちの中でも小さな子たちの面倒を見ている少年。完全に保父さん。仲間の中で一番年長のためかオッサンといじられて声を荒げる一面も。他5人が島の戦士と戦う時、リクは年下の子を守る動きをとります。

ウラ(浦陸斗)

タクヤの親友で、弟アオイ/コウスケの面倒をみていた頼れる兄。仲間達の目の前でヨットから転落し嵐の海に放り出され行方不明に。精神的に限界を迎えた弟の前に現れ、自分が死んでしまったことを伝える。まだこっちに来たらダメだと訴えかけるが、最後は自分と一緒に居たいと言う弟の気持ちを汲み、海となり弟を抱きしめて沈む。

アオイ/コウスケ(千田藍生/上垣廣祐 Wキャスト)

配信回はアオイ。ウラの弟で同じ施設で兄弟のように育ったタクヤのことも慕っている。兄は帰ってこない、タクヤもどこか様子がおかしい。アオイは兄のウラが助かっていないことを一番察していたような。ある日彼は夜中に目覚め、海に入る。そこで兄の姿を見るが、やはり兄は亡くなっていた。アオイの亡骸には、あの日ウラが身に付けていたはずのバンダナ(リストバンドかも…)がついていた。

話は逸れるがウラの姿が見えた時、もしかしたらこれは兄弟どちらか生存展開かも…なんて思ってたら♪きよしこの夜が流れ出して察し。兄弟2人が抱き合いながら沈む世界に雪が降ってるのとても綺麗だった。美しい心中描写。メリーバッドエンドだ。

島長・タイ(陰山泰)

島民の儀式の中心にいた威厳ある風貌の男性。島民と共に他所者である少年たちと対立する。盲目のため、自由があまり効かない。命令する形で戦士達を指揮し、島民から慕われている。原爆により被爆した身であり、トアとルイの実の父親。息子2人は母親も同じであり、生まれながらに後遺症を背負った息子2人までを補償も少なく差別迫害が止まない日本では育てられなかった。生まれたばかりのルイを連れ、国を捨てて同じ境遇の仲間と共に名もなき島に移り住んだと言う。置き去りにしたトアには、何も知らず生きていて欲しいと願っていた。他界したトアの母もそれを知っていた。全ての事実をトアに伝えて、最後は争いをおさめ、少年たちの未来への航海の背中を押す。

島民 オカ(岡佑吏) サワタ(澤田雅也)ヨシカワ(吉川太郎)フクイ(福井宏志郎)オクムラ(奥村颯太) 

島長タイを慕い、新天地で暮らす核被害者とその家族達のなかでも若く腕が立つ戦士たち。長槍の殺陣は圧巻。

ルイ(伊藤篤志/角紳太郎 Wキャスト)

配信回は角ルイ。島長の息子の少年。島の戦士達や島長が見つけるより早く、漂流してきた少年たちに気付き、様子を眺めていた。トアに近しいものを感じて接触する。

このルイくんがハムレットという共通の話題などから、トアが真実を知るきっかけを作る人物。

またこれも余談ですがフランス語圏の男性名としてのルイ(Louis)は名高い戦士、強き戦士を意味します。日本名として同じ読み方の単漢字の意味も面白いので是非調べてみてください。ルイはWキャスト故の出演者の下の名前を使用しない唯一の登場人物なので気になり、深掘りしたらとんでもなく良すぎて唸りました。

 

敬称略おわり。以下考察

特に印象的だったのは「二つの太陽」という表現。出だしの語りにあるこれは、広島と長崎に落ちた原爆であると作中で明確にされている。

思考が深まる要素として私が拾ったのは、関西Jr.の舞台作品において太陽はどういったものであったかです。結論を言うと周囲に変化をもたらす『人』です。これは舞台少年たちに触れていないとピンとこないものなのですが、17年〜18年夏の松竹座公演にて何故か別の演目であるはずの少年たちとの一本化のような試みがうかがえたりした経緯もあるため、切り離して考えるにはもったいない。脚本が変わってるため何ともいえませんが、私が楽しいから勝手にそう捉えます。人自体が兵器にもなりうる、そういうメッセージのように響いています。

過去のものも力量熱量文字数はまばらですがそれぞれ記事にしているので、気になりましたら記事を遡ってください。

 

人災(本作でいうのは人間同士の戦争に使われる核兵器や差別から生まれる負の遺産)が、本作で濃い要素のひとつ。戦争が起こらなければ原子力爆弾が太陽にならなかった訳ですしね。

争いで人が命を落としたり後遺症を背負う前に、戦いをやめればよかった。それを知っても平穏であるユートピアを追われる恐怖から、部外者は生きて帰すまいと命をかけて武器を持った戦士たちは敵意をむける。遭難し未知の島に放り出されたばかりのトアたちは、島民の所持する船の存在を知り、武器もなく体ひとつで自分達が島を出るための船を盗もうとする。この描写が暗示するのは戦争そのもので、意図的だと思う。

演技としては長槍と体術の殺陣がはいり、戦いの末にトアたちを捕らえ、仕留めようと迫る。その時、島長が戦士を遮る。息子への情か、よく知る歴史を重ね見たのか。どちらとも取れますね。結果島長は自らの力で太陽を落とさずにことを納めたのです。ここでの力は、慕われていたことによる人望でした。

虐げられたからと虐げる。やられたらやり返したところで、自分が体験した悲劇と同じことになる。原爆という二つの太陽の記憶…人の争いからおこる悲劇を知っていたから、かつて国に見捨てられた島民である彼等は止まる事ができたのか。ここで自分達の保身のためだけに生きたい人、未来に生きる子ども達を殺してはならなかった。それこそ、戦争やその後遺症、具体的に描かれている被爆、核被害で苦しんで死んでいった仲間たちや、今なお苦しむ遺族に合わせる顔がない。

また、タクヤの島に残る選択も意味深です。親に捨てられ帰る家もない。同じ施設育ちの親友とその弟もこの旅で命を落とした故に、戻れば思い出の景色世間は無意識にタクヤをこれからも傷付ける。人間が構築した社会は未だに血縁や他人との繋がりの薄い人には冷たいです。新天地で生きる決断をしたタクヤとそれを否定しなかったトア。逃避と受容、どちらも『生きている』からこそ自分で選べ、他が選ぶ様とその先の未来を目撃できる。2人とも優しくて強い子でした。目の前の現実を拒絶することと自己否定や死に向かう事は同じではない。

また、変わろうとする仲間の力や環境の変化に耐えきれず、触れたら消えてしまう、太陽と共存できず姿を消してしまう雪もまた人。人を残し自ら命を断つことは冷たいこと、弟自身の生きる気持ちが冷め切る意味合いを、本作の自然の脅威を象徴した海に流す。自然は未だ人の考えや技術では覆せないものが多い。変えられなかった、救えなかったものの言い分のような表現と取れます。

入水自殺の表現は今回、周りの人間が「気付ければ」救えた可能性がある命、というようなハッキリと死を肯定しない表現になり非常に本編と一貫性がありましたね。配信なのもあり、常に本筋から逸れないため理解が楽です。

物語の終盤の島を出る直前のシーンも16年では島残留の判断をする方が自殺した身内の後追いしそうで危なげだったのですが、今作はしっかりと生きると言い切って終わるのです。

船出のシーンでは亡くなったウラ兄弟もおり、出演者全員が前を向いているのが好きです。誰も後ろを振り返ったり、俯いてはいませんでした。最後の語りも含めて、見送られているのは私達観客のようなメタさ。既出の有名作品も上げて、『生きよう!生きろ!』と度重ね鼓舞されます。ハムレットと、ビートルズだったかな?違うかも。

フィクションとノンフィクション(トアに関係するハムレットと現実)

自然災害と人工物による被災、脅威(嵐と核)

兄弟2人の最期(事故・自殺)

トアとタクヤ(家族の有無、再会と離別、普通の健常者と生まれながらの被爆者、旅立ちと留まり)

知ることと知らぬままでいること

過去と未来

戦争と平和

生と死

他にもある、思いつく全てが答えです。

アナザーはたくさん。

16年と比べて相関図上に人物が減ったためか、非日常の描写や人の置かれた環境の直接表現は薄れて、戦争と平和への思いと生を全うすることへのメッセージを強く感じさせる展開になっています。

16年は冒頭少年たちが乗ってくる船な太陽丸と船に名前がついていました。ここにも太陽がいたのですね。今回はヨットであるということのみパンフレットにて判明していますが、乗船人数と嵐のシーンで柵付きのデッキがあることからこのヨットは恐らく個人所有の遊行船、日本はクルーザーと称したほうが馴染み深い船を指す可能性もあります。ヨットと言うと三角の帆のエンジンのない小型船を想像してあんなに大勢で航海できるか…?と疑い私もググりました笑 語源的には同じ帆(マスト)のある船という意味らしく、刷り込みであの絵に描きやすい見た目の小型船だけを想像してしまうのは日本人特有みたい。一つ賢くなれるのもこうして作品に触れる時の楽しみです。本当にヨットかもしれないし、クルーザーだとしても誰の所有物なのか→子供達だけで乗っていたのか→海賊に憧れて集まったのか…など想像するの余地のある遊べる余白もたくさんあります。考察においては矛盾になるのですが、明確にすることばかり必死になるのはもったいない気もします。

少年たちの故郷は日本で、島民も日本語を話すことも劇中で説明されていました。これにより世界観が固定されやすくなり、核被害やハムレット等の観客の世界にも実在する史実や作品が生きていきます。少年たちの冒険はまだまだこれからだ…帆を上げて航海すれば、これからの未来だけではなく、先代が生きてきた歴史の教科書には載っていない世界や、想像もできないような展開、自分とは異なる考え方に触れる沢山の出会いが待っている。

劇中歌含めてどちらかと言えば2002年のものに回帰したような印象です。2021年に劇中で♪旅人と♪レクイエム 宇宙の記憶が聴けるとは思っていなかったので嬉しかったです。どちらも∞さんがJr.時代〜松竹座公演をしていた頃の楽曲で、座長であるりとかんちゃん5人が歌い上げました。そういえば十字担ぎ?はなかった…。

夏の松竹座で大吾くんが歌っていて好きだった♪星を探そうも聴けて嬉しかったです♪HI!HO!もありましたが今回はかわいいちびっこ動物は集まってこなくて、この曲はその印象が強かったので少し寂しかったです。ころなめ!

あとりとかんちゃん、おっきくなった!きっとこれからも成長が止まらない。春松竹のコントから斗亜ちゃんの熱演は好きだけど、今回はグループ主演でメインキャラクターの赤のリーダーとして大役を難なくこなしていて流石です。守りたくなる。かつて康二くんが務めた青のポジションのキャラクターを、康二くんを尊敬しているニシタクさんが演じた事実も本当に熱いものがあります。16年に見た時もこの赤青2人の対比が好きだったのでやはり重点を置いた記事になってしまい…2人とも別の作品であればそれぞれが主人公クラスの波乱人生を若いながらに送っていますよね。レポで回ってきたニシタクさんの挨拶が凄くて、これ劇場で見たあと生で食らっていたら危なかったなあと思いました。笑

過去や既出をなぞって未来のいのちへ繋ぐ。松竹座公演の同演目、やはり好きです。

そもそもの話だが作品名の汎用性が高すぎる。どうとでも取れるので本当に毎回、内容も演者の表現も、観客の受け取り方までも変わって良いなんてズルい!褒めてます、本当面白くて。

タイトルの通り、別のANOTHERの世界があるのであれば、その時は再び冒険に行きたいです。強くて弱くて愛しいキャラクター達が生きる舞台を、叶うならどうか同じ空間でも心配なく楽しめる日々が早く来たらいいなと。

この作品は例年特にちびっこJr.が物語の重点を務めたり頑張りが見えることが多く、応援しているお兄ちゃんたちが可愛がる様子からも気付くとちびっこも応援してしまうという…ある意味恐ろしい仕組みがあるんですよね。周りに可愛がられた子は人懐こく育つので、今度は後輩を可愛がるという愛溢れる連鎖をするのが微笑ましい。

自然災害と核兵器による被爆の悲惨さ、迫る死に怯えながらも懸命に生き、未来に希望を託す彼等に、表現するための言葉をもらったため記事にしました。

見上げた先の太陽が、あなたと私や大好きな人達を苦しめる兵器ではありませんように。あなたが太陽ならば、長く雲に隠れて夜を迎えても、また昇れる朝や照らせる先がありますように。ただ祈るばかりです。夢のある未来であれ。

 

普段はなにわ男子の長尾くん関連の作品を見た時に感想などを趣味で書き残しています。

でもこのタイトルだけは特別。

読んでいただき、ありがとうございました。

今後とも、関西Jr.を宜しくお願い致します。

 

2021/6/9 一部表現の修正と加筆

2023/10/2 一部修正